山のあなた

3/7 19:00-21:30 城内公民館 多目的室 渡辺健一郎

「山のあなた」という詩を小作品にして上演してみました。

あなた、って彼方とも書けるんですね。知らなかった。そして「あなた」には「彼方」の意味がある。
原文のドイツ語では(DeepLで翻訳してみた)普通に彼方の意なので、訳者が意図的に「あなた」を選択したということになります。

翻訳された当時、明治期には「あなた」の敬意が大変高かった。本当に遠くにいる人、といった具合。今調べた付け焼き刃の知識ですが。だから現代よりは「あなた=彼方」にズレはないのでしょう。
しかしいずれにしても「あなた」か「彼方」かで印象はだいぶ違いますね。「あなた」は現代では翻訳として絶対選択できない語ですが、しかし「あなた」と訳されたこの深みを知ってしまったら、それ以外の訳を考えることはもはやできない。
カール・ブッセ自身に選択させてもきっと「あなた」が採用されることでしょう!!!

神と言わなくても良いですが、何か遠くに、遠くにいるものに、手を伸ばすというこの経験の尊さ。二人称単数の、近くにいるようで決して到達できない尊さ。
危うい神秘性に回収されない仕方で、遠さに浸るようなことが可能か、どうか。
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上演ののちに、他の人にその上演を再演出してもらう、といったようなこともやってみました。
自分たちで創作する、のみならず、他の人の手、彼方からの手によって動かされる、というのもまた楽しみのひとつ。
時間があまりなかったので、今回は修正、微調整程度の再演出にとどまりましたが、大幅に、大元から再構築するといった様なこともやってみたら面白いかもしれません。
いずれにしても今日の上演ワークはだいぶ楽しかったな。題材が良かったからかもしれません。



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